食品製造における安全性Safety for food production
食品工場で使用するポンプ選びは、製品の品質や衛生面を担保する上で非常に重要なポイントとなります。
特に、異物混入リスクを最小限に抑えるためには、ポンプのサニタリー性や洗浄性、構造に対する理解が必要です。
本記事では、異物混入防止という観点から、食品工場に最適なポンプ選定のポイントについて詳しく解説します。
異物混入が食品製造に与える影響
ゴムや金属といった異物の混入は、製品の自主回収や顧客からのクレームにつながるだけではなく、企業の信用損失や売上減少といった影響を及ぼしかねません。そのため、製造ラインにおける衛生管理の向上は不可欠であり、ポンプの選定もその例外ではありません。
衛生管理向上のためのポンプ選定のポイント
- サニタリー性 – 部品が洗浄しやすく、汚れや液の滞留が起こりにくい構造となっていること。
- メンテナンス性 – 分解・洗浄・組立が容易なものを使用することにより、洗い残しや組立のミスを防げるようになっていること。
- 摩耗部品の混入防止 – ポンプ部品の摩耗によって食品衛生法に不適合なゴムや金属といった異物の混入が発生しない構造。
おすすめのポンプの種類Recommendation
二軸スクリューポンプ
二軸スクリューポンプは衛生面で優れた構造をもつポンプの1つです。
特徴
- サニタリー性が高く、洗浄が容易。
- 高粘度の食品や固形物を含む流体もスムーズに移送可能。
- 液にせん断や撹拌が加わることを押え、食品の品質を維持。
品質管理における効果
- ポンプの回転数を上げることで、1台のポンプで液体の移送からCIP洗浄まで対応することができる。
- 分解洗浄が必要な場合でも分解や再組立てが容易な構造となっている。
- 固形物の搬送が可能、液にせん断や撹拌を加えないという特徴により、食品の品質を維持しながら移送できる。
- 高粘度の流体にも対応できるため、コンベアや人手で行っていた移送工程をインラインに置き換えられるケースがある。
脱泡機能付き二軸スクリューポンプ
脱泡機能付きのモデルはサニタリー性が高いだけでなく、移送する液体の品質向上を達成する製品です。
特徴
- 非接触式のサニタリーポンプでありながら非常に強い吸引力を有する。
- 高粘度の流体に含まれる気泡を、ポンプで移送しながら除去することができる。
- 完全ドライの状態からでもポンプの運転を開始することができる。
- 真空脱泡用の装置を使用する工程の時間短縮が可能に。
- 液にせん断や撹拌が加わることを抑え、食品の品質を維持。
品質管理における効果
- 気泡による製品不良(成形後の空洞発生、気泡による酸化促進、等)を抑制。
- 高所作業や、重量物の人手での移し替えといった危険作業を解消。
サニタリー性の低いポンプ使用によるリスクRisks with poor sanitary property pumps
サニタリー性があまり良好でないポンプを食品ラインに使用した場合、以下のような問題が生じる可能性があります。
- 洗い残しが発生した部分か細菌が繁殖し、衛生面に悪影響が出る
- ポンプ由来のゴムや金属が製品に混入してしまう
- 分解や洗浄がしづらい構造になっている可能性が高く、メンテナンスの手間が大きくなる
ポンプ選定時のチェックリストchecklist
- 扱う食品の粘度や流量に合っているか
- サニタリー性が確保されているか(CIP対応など)
- メンテナンスのしやすさを考慮しているか
- 扱う食品や洗浄液の物性に合った部材を使用しているか
導入事例Examples
二軸スクリューポンプ
カレーソースを移送する工程に二軸スクリューポンプを導入。
導入当初は、従来使用していたポンプと同様に、使用後毎回の分解洗浄を行うことを予定していたが、通水によるCIP洗浄だけで十分な水準(ATP値で20程度)までポンプ内部をきれいにすることができることがわかり、これまで必要だった分解洗浄のための時間を大きく削減することができるようになった。
脱泡機能付き二軸スクリューポンプ
味噌をタンクから充填機へ移送する工程で、液の中に気泡が含まれた状態で金属探知機を通過すると誤作動を起こしてしまい、実際には金属片が含まれていなくてもアラームが出ているというようなことが頻発していた。これに対応するために金属探知機の感度を落として運用していたが、こうすると金属片が混入するリスクも上がってしまうため、なんとかしたいと考えていた。
この移送工程に脱泡機能付き二軸スクリューポンプを導入。
移送しながら味噌に含まれる気泡を除去することができるようになり、気泡による金属探知機の誤作動が起こらなくなったため、探知機の感度を高い設定に戻すことができた。このことは異物混入のリスク回避において大きな助けとなった。加えて、充填後の味噌にも気泡が入らなくなったことで、容器内での味噌の酸化防止効果が得られることにもなった。
まとめSummary
異物混入を防止するためには、製造工程全体の見直しとともに、適切なポンプを選定することが欠かせません。特に、サニタリー性、洗浄性に優れたポンプを選ぶことが食品工場における品質保証の鍵となります。
当社ではサニタリーポンプである二軸スクリューポンプやベーンポンプを取り扱っております。詳しい製品情報や導入相談については、お気軽にお問い合わせください。