工場や水処理施設で発生する廃棄物の移送は、固形物による「詰まり」や「摩耗」、化学物質による「腐食」、悪臭などの「衛生問題」など、その液質によって多岐にわたる課題が発生する難しい工程です。条件に合わないポンプを選ぶと、頻繁に故障が発生したりライン停止が引き起こされたりして不要な手間やコストの増加につながります。
本記事では、廃棄物移送における特有の課題を整理し、トラブルを防ぐための対策やポンプの選び方について説明いたします。
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廃棄物移送ポンプの主な用途
産業廃棄物処理施設での移送
産業廃棄物処理施設では、収集から中間処理、最終処分など様々な工程で、汚泥やスラッジなどが混ざり合った高濃度の固形物を含む廃液を移送するシーンがあるため、専用の移送ポンプが必要になります。
これらの廃棄物は硬い異物が多量に混入しているため、通常のポンプではすぐに内部が詰まったり、激しく摩耗したりするといったトラブルが多発します。ポンプが故障して処理ラインが停止すると、施設全体の稼働が止まることになりかねず、その影響は小さくありません。そのため、過酷な連続運転にも耐える「耐摩耗仕様」と、異物に強く安定して移送できる構造が要求されることになります。
下水処理や排水処理における汚泥の移送
生活環境を守る下水処理場や工場の排水処理施設でも、ポンプはインフラ設備として使用されます。主に沈殿槽からの汚泥(スラッジ)引き抜きや、処理工程間での移送に用いられます。
下水汚泥の特徴として、ゴミや繊維状の異物が大量に含まれているケースが多く見られることが挙げられます。一般的なポンプでは内部で繊維が絡まることで詰まりを引き起こしやすく、処理能力の低下やライン停止を招いてしまいます。
そのため、繊維状の異物を含んだ流体でも絡まらせずに長時間稼働できる連続運転性能が求められます。また、日々の清掃や点検を素早く行えるメンテナンス性の高さも、安定稼働には重要な要素となります。
食品工場や製造業での廃液の移送
食品工場や各種製造業では、食品残渣や油分、ドロドロとした高粘度の廃液を処理設備へ移送する工程が数多く見られます。これらの流体は固形物を含んでいることが多く、加えて高粘度であるため、一般的なポンプではトラブルによって処理工程が止まってしまうリスクを高めてしまいます。
食品製造の中でも特に野菜や茶葉を使う工程では、野菜に含まれる繊維が絡まってしまうことや、茶葉がポンプ内で詰まってしまうことでポンプが止まるリスクを考慮しなくてはなりません。また、廃液とはいえ食品を扱う現場になるため、衛生面の管理にも注意する必要があります。
こういったことから、固形物の入った液体の移送に強く、洗浄を素早く行えるポンプが求められます。
廃棄物の移送でよくある課題とは?
固形物による詰まりトラブル
廃棄物移送での大きな課題のひとつが「詰まり」です。廃液に含まれる大きな異物や繊維状のものがポンプ内部で絡みついたり、噛み込んだりすることで発生します。
ポンプや配管、ストレーナーで詰まりが発生すると、設備を停止して手作業による大がかりな分解・清掃が必要になるかもしれません。これは施設全体の稼働ストップという大きな損失を招くことになります。そのため、流路が広く固形物が通過しやすい構造のポンプを選ぶ、詰まりが発生しにくい配管構成にするなど、事前の対策が重要になります。
摩耗・腐食によるポンプの寿命の低下
廃棄物の移送では、ポンプの「短寿命化」も課題となります。砂や硬い異物を含むスラッジは強い研磨作用を持ち、ポンプのローターやインペラ、ケーシングを摩耗させます。ここに、酸やアルカリ性の強い廃液が加わると、金属の腐食の懸念も加わり、ますます劣化が早くなります。
内部が摩耗・腐食すると、十分な吐出圧力をかけられなくなり、流量が低下してしまいます。初期費用を優先して材質や構造の選定を見誤ると、すぐに部品がすり減って頻繁な交換が必要となり、結果的に莫大なメンテナンスコストが発生します。流体の特性を見極め、耐摩耗・耐食性に優れた材質・構造のものを選ぶことが重要です。
悪臭や漏れなど衛生面のリスク
廃棄物の移送においては「衛生面のリスク」も見逃せません。食品残渣や汚泥は腐敗しやすく、悪臭を放つことが珍しくありません。こういった作業環境や周辺環境の悪化は安全面にも影響します。
このようなことからコンベアに代表される開放系での移送ではなく、配管やポンプを用いた密閉系で移送を行うことが好ましいです。また、ポンプを使用する際には軸封部からの漏れにも注意が必要です。液漏れによる清掃の手間や作業環境の悪化は作業負担の増加に繋がるため、ポンプのシール性にも着目する必要があります。
メンテナンス頻度によるコストの負担
廃棄物移送ラインでは、メンテナンス頻度の増加に伴うトータルコストの増大も課題になるかもしれません。摩耗が起こりやすい環境下でのポンプの使用は、インペラやローターなどの接液部の消耗による交換頻度が高まり、修理費用が膨らむ懸念があります。
メンテナンスを頻繁に行うことは、部品交換による直接的なコスト、清掃や分解作業にかかる人件費に加え、設備停止(ダウンタイム)に伴うロスなど見えにくい部分での負担増加を意味します。初期費用を抑えようとした結果、かえって維持管理費がかさんでしまうのは本末転倒です。予防保全を見据えた「トータルコストの最適化」という長期的な視点で選定を行うことが重要です。
廃棄物の移送に適したポンプの要件とは?
固形物が詰まりにくい構造となっている
上述のように、廃棄物移送においては異物が詰まらない構造のポンプを使用することが求められます。ポンプ内部の流路が狭いものや、ローター部分に異物が絡みついたり噛み込んだりしやすい構造のものを使用すると、すぐに閉塞してしまう恐れがあります。一度詰まると分解清掃の手間が大がかりになってしまうこともあるため、このリスクはなるべく低減させておきたいところです。
低粘度の液体であれば、遠心ポンプの中でも水流の渦で異物を押し流す「ボルテックス型」など、固形物をスムーズに通過させる構造を持つものが選択肢にあがります。
一方高粘度のものを扱う場合は、ローター部分で大きな固形物や長い繊維が絡みにくい構造を有した容積式ポンプを選ぶことで、長期的な安定稼働の助けとなります。
耐摩耗性・耐腐食性に優れた材質が使用されている
廃棄物移送においては、砂や硬いスラッジが引き起こす激しい「摩耗」や、酸やアルカリ性の廃液による「腐食」の可能性を考慮した材質の選定も必要になります。
これらによる消耗をなるべく防ぐためには、流体の特性の理解が書かせません。特に遠心ポンプを使用する際には摩耗が激しくなりがちであるため、強靭な高クロム鋳鉄や特殊なゴムライニングを使用したものを選ぶことが効果的になります。
また、腐食性が高い流体には耐食性に優れたステンレスを採用することが好ましくなります。初期費用だけで判断を行い、移送する液体の性質に不適切な材質を選ぶと早期故障を招くため、適材適所の材質を選定することがトータルコスト削減のポイントとなります。
清掃や分解がしやすい構造になっている
廃棄物の移送では、どうしても摩耗が発生してしまうことに加え、落としにくい汚れが蓄積してしまう傾向にあるため、定期的なメンテナンスの実施が求められます。
このため、分解や再組立に時間がかかる構造のポンプを選ぶと、メンテナンスのたびに長時間の設備停止が発生しかねません。これでは生産効率低下の要因となってしまうことに加え、現場作業者の疲労や負担も激増してしまいます。
そのため、熟練度によらず短時間で簡単に分解・組み立てができるシンプルな構造を選ぶことも大切な要素となってきます。清掃工程をなるべく短縮することで、人件費の抑制と設備稼働率の向上、ひいては大幅なコストダウンにもつながってきます。
廃棄物を安定移送するおすすめのポンプ
おすすめポンプ
廃棄物の移送に適したポンプとして、「スクリューコンベア付二軸スクリューポンプ SQW型」をご紹介します。
脱水ケーキや高濃度のスラッジなど、流動性に乏しい超高粘度の廃棄物でも、ポンプに接続されたスクリューコンベアでポンプ部分に押し込ることができます。異物が詰まったり繊維状のものが絡まったりにくい二軸スクリュー構造によって、安定的な移送を実現。ライン停止のトラブルを防ぎ、処理効率を向上させることができます。
おすすめポンプ
流動性が見られる場合には二軸スクリューポンプSQ型も適しています。
大きな特長は、ポンプの接液部分の金属部品同士が触れ合わない非接触構造です。砂や硬い異物を含む汚泥やスラリー液を移送しても部品の摩耗が少なく、長寿命を維持します。また、高速で回転させることが可能な構造のため、液接触による摩耗が生じて吐出量が減った場合、回転数を上げることで不足分を回復することができます。また、SQW型と同様、固形物を含む液体を詰まらせずに移送することができるため、ライン停止のトラブルを防ぐことに貢献します。
導入事例
廃棄物移送の事例
脱水機にかけた金属微粒子を含む研磨性の強い液体を次の処理を行うタンクへ移送する工程での導入事例です。
従来のポンプでは、硬い金属微粒子によってポンプが激しく摩耗し、短期間で移送能力が低下していました。これに伴い頻繁な部品交換が必要となっており、メンテナンスの手間と維持費が無視できないものになっていました。
この課題に対し「二軸スクリューポンプ(SQ型)」を導入。接液部の摩耗が進んでも、ポンプの回転数を上げることで能力低下をカバーできるため、部品交換の頻度とランニングコストの大幅な削減をすることができました。
廃棄物移送の事例
飲料工場から大量に排出される「茶葉の出がらし」を処理設備へ移送した事例です。
後工程の手間を省くため含水率を下げて移送したいものの、従来のポンプでは移送時の内部圧力で茶葉が絞られて固まり、ポンプが詰まってしまうという課題がありました。
これに対し、「スクリューコンベア付二軸スクリューポンプ(SQW型)」を導入。液を押し固めることなく連続的に送り出す構造によって、当初の想定より低含水率の状態でもポンプ内で詰まらせることなく、安定的に移送させられるようになりました。
伏虎金属工業の技術サポート
廃棄物移送では、それぞれの状況に応じた適切なポンプ選定を行うことで、安定的な移送を行うことができます。伏虎金属工業では、ポンプの販売にとどまらず、お客様の現場での課題改善を目的とした提案を行います。
まず、廃棄物の性質(粘度・固形物の有無・腐食性)や現状の運用方法をヒアリングし、条件にあったポンプをご提案します。特殊な廃液で他社に断られたといった場合でもお気軽にご相談ください。既存設備で発生する詰まりや摩耗、液漏れといった課題に対し、状況に合わせたカスタマイズを行うことも可能です。
導入後も、消耗部品の短期間での納入やトラブルへの迅速な対応といった保守体制を整えています。「そもそも対応できるポンプが見つかっていない」「維持費をどうにかしたい」といったお悩みをお持ちの場合は、ぜひご相談ください。
まとめ
廃棄物の移送は、固形物による詰まりや激しい摩耗、衛生面の維持といった様々な課題が発生する工程です。安易なポンプ選びは頻繁なトラブルや運用コストの増加の原因となるため、状況にマッチした構造をもつとともに、耐久性とメンテナンス性に優れたポンプの選定がポイントとなります。
一言で廃棄物といっても、その中身は多岐にわたります。状況によってはスラリー移送に特化した遠心ポンプも有力な選択肢となりますが、容積式ポンプが好ましい場合、スラリー移送に強くメンテナンス性に優れる二軸スクリューポンプは、課題解決のための手段のひとつとなることでしょう。
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