グリスは自動車部品や素材などの生産工程でよく用いられる液体です。
特に近年では、電子基盤などに塗布して効率よく熱を逃がす用途で用いられる「放熱グリス」の需要が伸びてきています。
グリスのような高粘度液体を扱うケースにおいては、製品の品質や歩留まりを下げてしまう厄介な存在があります。
それが、グリスの中に気泡が混入する「エア噛み」です。
製造現場ではこれによるお悩みを耳にすることは少なくありません。
以下では、こうしたお悩みを1台のポンプで解決する手段について解説します。
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グリスを扱う際に発生する課題とは?
一度混入した気泡が簡単に抜けない
水のようにサラサラした流動性の高い液体であれば、少しの間置いておくだけで空気は自然と上に抜けていきます。
しかしグリスのような流動性のない高粘度の液体では、空気が一度噛み込んでしまうと、空気が閉じ込められてしまって自然に抜けることはありません。
これにより、次のような現象が発生します。
充填精度のばらつき
空気が入ったままのグリスを充填機を介して充填しようとすると、ノズルで空気が弾けて周囲に液が飛散したり、空気の分だけ充填量が少なくなってしまったりといった現象が発生します。
特に内容量の少ないボトルに充填するようなケースでは、気泡による充填量のズレが大きな誤差となって現れてしまいます。
気泡の混入による塗布不良
グリスを塗布する用途においては、膜の中に気泡が残存してしまうことはその性能が十分に発揮されないことを意味します。特に基盤に放熱グリスを塗布するようなケースにおいては、気泡によって塗りムラができてしまうと熱伝導効率が局所的に落ちてしまい、使用しているうちにオーバーヒートを起こす要因となります。
また、金属部品同士が接する箇所の潤滑剤として使用する場合、局所的にグリスの塗布量が不足していると部品の偏摩耗による寿命の低下へとつながることにもなってしまいます。
廃棄ロスの増加
以上のように、グリスに気泡が混入することは避けるべきな事項となります。しかしながら、ポンプでドラム缶や一斗缶に入った液を充填や塗布といった工程に移送する際、容器の底の方に残った液を吸い出そうとするとどうしても空気が混ざってしまいます。
このため、望まない空気の混入を避けるべく、底の方に残ったグリスを使用するのは諦めるというケースもよく耳にします。
残ったグリスを複数の容器から別の容器に集めて再生させるという方法も考えられますが、流動性が極めて低いグリスのようなものでは、静置させていても自発的に気泡が抜けていくようなことはほとんどありません。
再生させるには大がかりな真空脱泡装置が必要となりますが、設置スペースや導入費用などの負担が大きく現実的ではないため、廃棄処分となって経費の増加という結果に終わることとなります。
人手での移送に伴う作業負荷
ここまで充填や塗布に着目してきましたが、気泡の混入が気にならないという工程も存在していることでしょう。こういった場合には、移送工程そのものでも課題が発生することがあります。
これは、グリスの流動性が低いためにポンプで吸い出すのが困難だったり、グリスの粘度の影響で高い吐出圧を求められるためです。条件に合うポンプが見つからず、ひしゃくなどを用いてドラム缶から手作業で移し替えているということも珍しくありません。
この場合、グリスをすくい取る際や移し替える際の肉体的な負担に加え、液が床にこぼれた際の作業環境の悪化や清掃の手間といった課題が発生します。
「移送」と「気泡除去」を同時に行うという選択
「大がかりな設備を導入せずに気泡の入ったグリスを再生したい」
「充填や塗布の工程で気泡が入るのを防ぎたい」
「グリスの移送を楽にしたい」
といった要望に応える手段として、脱泡機能付き二軸スクリューポンプVQ型(デフォーミングポンプ)」があります。
このポンプは高粘度液の扱いに対応できることに加え、ポンプ内部で強い真空状態を作り出すことで、グリスなどの高粘度液を次工程に送り出しながら同時位内部の気泡を除去することができます。
このため、ポンプを導入することで以下のような効果が生まれます。
最終製品の品質安定化
ポンプを通過した後のグリスは気泡が含まれていない状態となるため、充填時の液量のズレや塗布時の気泡による塗りムラの発生を抑制することができます。
廃棄ロス削減
容器の底に溜まった液を吸い出す際、空気とグリスを一緒に吸い出しても、ポンプを通過する際にその空気を取り除くことができるため、底の方の液まで使い切ることが可能になります。
リードタイムの短縮
真空タンクを用いてバッチ式で脱泡を行っていた工程をインライン式に変更できるようになるため、ラインの停止時間を削減することが可能になります。
ラインの省スペース化
大がかりな真空脱泡装置をポンプ1台に置き換えられるため、限りのある工場内のスペースを有効活用できます。
導入事例
これまで廃棄していたグリスの再生
自動車用グリスの移送工程において、ドラム缶からの引き抜き時に空気を巻き込んでしまい、グリスが白濁して大量の廃棄ロスが発生していた事例をご紹介します。
ドラム缶の切り替え時や底の残液を吸い上げる際、どうしても空気を噛んでしまい、白濁したグリスは不良品として月間約800kgも廃棄せざるを得ない状況でした。これはコスト面だけでなく、環境配慮(SDGs)の観点からも大きな課題となっていました。
そこで、「脱泡機能付き二軸スクリューポンプ(VQ型)」を導入。
このポンプに回収した白濁したグリスを通過させることで、中に含まれる気泡を除去することができました。
これにより、従来は廃棄していたグリスを良品として再生させることができ、大幅なコスト削減と環境負荷の低減を両立させることにつながりました。
インラインでの連続脱泡
ドラム缶に入ったグリスをドラムポンプを用いて次工程へ移送する際、底の方に残った液を回収するときに空気を巻き込んでしまうため、最後の方の液を廃棄処分していた事例です。
ドラム缶に入ったグリスを塗工機に移送する際、空気が混じった状態のグリスが供給されると、グリスを塗った後に部分的に空洞ができてしまい最終製品の品質悪化の要因となってしまうため、ドラム缶内の液の残量が少なくなったタイミングでラインを止めていました。また、残った液は空気が入ると使い物にならなくなるため、やむなく廃棄していました。
ここに「脱泡機能付き二軸スクリューポンプ(VQ型)」を導入。
VQ型をドラムポンプと直結させ、ドラム缶の底の液までドラムポンプで回収。空気が混ざった液が出てくることになりますが、VQ型を通過することで混ざった空気を除去することができるようになりました。
これにより、従来は廃棄していた分のグリスを有効利用できるようになっただけでなく、ラインの稼働時間を伸ばすこともできました。
技術サポート
グリスの粘度、含まれる気泡の大きさは状況によって大きく異なります。「本当にこの液からでも空気が抜けるのか?」「配管条件に問題はないか?」という疑問が生じるのは当然のことです。
このような疑問に対応するため、当社ではカタログ上のスペックだけではなく、実際の状況にマッチさせるための「技術サポート」を行います。
実液テストによる事前検証
必要に応じて、実際に使用されるグリスを使った移送テストを行います。これにより、適切に気泡が除去できているかを実環境に近い形で確認し、導入前の不安を解消します。
現場の条件に寄り添った機種の選定
流量や配管レイアウト、液温度といった現場条件をヒアリングし、条件に合った機種をご提案します。配管条件や設備配置からの見直しが必要な際には、その旨も提案いたします。
導入後のフォロー
運用開始後も、メンテナンスの相談や突発的なトラブルへの対応、交換部品の迅速な供給など、現場ごとに異なる条件に合わせてサポートします。
まとめ
グリスは工業用に幅広く用いられる液体ですが、気泡が入ると最終製品の品質に大きく影響が出るという課題を持ち合わせており、慎重に取り扱うことが求められます。特に塗布する用途においては、膜の中に気泡が残ることは大きな問題となり得ます。
こういった課題を解決できるのが「脱泡機能付き二軸スクリューポンプ VQ型」です。伏虎金属工業では、現場の課題のヒアリングを行い、最終製品の品質向上や廃棄ロスの解消に向けてサポートいたします。
「今のラインの歩留まりをなんとかしたい」「脱泡の工程をスリム化したい」という方は、まずはぜひ一度ご相談ください。
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