食品工場で使用するポンプ選びは、製品の品質や衛生面を担保する上で非常に重要なポイントとなります。
特に、異物混入リスクを最小限に抑えるためには、ポンプのサニタリー性や洗浄性、構造に対する理解が必要です。
本記事では、異物混入防止という観点から、食品工場に最適なポンプ選定のポイントについて詳しく解説します。
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異物混入が食品製造に与える影響とは?
食品製造において、異物混入は起きてはならない重大なインシデントです。混入の原因は人に由来するミスだけでなく、ポンプや配管の劣化によって生じる「摩耗粉」「金属片」「樹脂・ゴム片」など、設備に起因するケースも決して少なくありません。
万が一これらの異物が製品に混入すれば、食の安全を脅かすことになり、その結果、大規模な自主回収(リコール)や出荷停止を余儀なくされ、莫大な経済的損失を生むだけでなく、企業の社会的信用の失墜にまで発展しかねません。
さらには、厳しい外部監査の指摘や取引先からの評価低下といったダメージにもつながってきます。対外的な要素だけではなく、内部では製造ラインの緊急停止や全ロットの再検査など、リカバリーに多大な労力と時間が発生します。
近年では、HACCPの視点からも物理的危害要因(ハザード)を未然に防ぐ工程管理が不可欠です。「劣化に注意して使う」のではなく、設計段階から「部品が摩耗・欠落しにくい構造の機器」を選ぶことが効果的な予防策となります。実際に、非接触構造のポンプへ更新したことで金属異物リスクをゼロにした事例もあり、適切なポンプ選定は企業のブランドを守る重要な防衛線なのです。
衛生管理向上のためのポンプ選定のポイント
サニタリー性に優れているか
食品の安全性の維持のためには、ポンプのサニタリー性(衛生的な構造)が重要になります。サニタリー性の高いポンプでは、内部に液だまりの原因となる「デッドスペース」がないことや、分解洗浄が容易な構造であることが求められます。これは、デッドスペースや洗い残しなどが生じると、そこで細菌の繁殖が起こり、腐敗や食中毒の原因となる衛生トラブルが引き起こされる恐れがあるためです。
サニタリー性の高いポンプでは、上記に加え、接液部の表面粗さ(Ra値)が十分滑らかであること、腐食が起こりにくい素材を選択していることなどが要件にあがります。また、配管接続には洗浄しやすいサニタリー継手(へルール継手など)を採用するといったことが基本になります。
さらに、ポンプを分解せずに洗浄液を循環させて内部を洗浄できる「CIP(定置洗浄)」に対応した設計であれば、洗浄不足によるリスクを排除しつつ、現場の清掃工数を劇的に削減することが可能です。
摩耗部品の混入防止を実現できる構造か
食品の移送において、ポンプ内の部品摩耗やシール材の破片が製品に混入するリスクは、衛生面を確保する際に注意したいポイントです。過去には、ポンプや配管由来の異物が製品に混入してしまい、大規模な自主回収に発展したケースも実際に存在しています。
これを防ぐためには、材質を食品衛生法適合品にすることに加え、万が一摩耗や破損が発生しても食品側へ流出しないライン設計や、そもそも異物発生のリスクが極めて低いポンプを使用するといった構造上のリスク低減策も有効です。
加えて、分解洗浄を行った後に組み付け不良によって異物発生へとつながるケースなども考えられるため、再組立時にシビアな調整が求められるようなものは注意が必要かもしれません。
また、部品はいつか消耗します。定期的な点検と部品交換を前提とした「予防保全」の計画と、それを容易にするポンプ構造の組み合わせというのも、ラインの安全性を保つ上では必要な要件となるでしょう。
メンテナンスしやすいか
食品工場におけるポンプのメンテナンス性も、衛生管理の質を向上させる要因となります。分解・洗浄・組立が複雑なポンプは、洗い残しや部品の組み間違いによる異物混入リスクを高めるだけでなく、作業者の習熟度によって再現性を出せなくなってしまうおそれがあります。
理想的なのは、短時間で容易に分解できるシンプルな構造のポンプや機器を使用することです。属人化を防ぐことで日々の保守作業や保全記録の管理が標準化され、誰が担当しても一定の衛生レベルを保つことができます。
実際に、メンテナンス性の低い設備を使用していた現場では、繁忙期の突発的なトラブル対応に多大な時間を奪われ、ライン停止による損失が発生したケースもあります。逆に、消耗品の交換頻度が低く、容易に分解できるポンプへ更新したことで、現場担当者の負担が劇的に軽減し、長期的にはメンテナンスコストの大幅な削減に繋がります。
食品用としておすすめのポンプ
二軸スクリューポンプ
二軸スクリューポンプは衛生面で優れた構造をもつポンプの1つです。
特徴
- サニタリー性が高く、洗浄が容易。
- 高粘度の食品や固形物を含む流体もスムーズに移送可能。
- 液にせん断や撹拌が加わることを押え、食品の品質を維持。
品質管理における効果
- ポンプの回転数を上げることで、1台のポンプで液体の移送からCIP洗浄まで対応することができる。
- 分解洗浄が必要な場合でも分解や再組立てが容易な構造となっている。
- 固形物の搬送が可能、液にせん断や撹拌を加えないという特徴により、食品の品質を維持しながら移送できる。
- 高粘度の流体にも対応できるため、コンベアや人手で行っていた移送工程をインラインに置き換えられるケースがある。
脱泡機能付き二軸スクリューポンプ
脱泡機能付きのモデルはサニタリー性が高いだけでなく、移送する液体の品質向上を達成する製品です。
特徴
- 非接触式のサニタリーポンプでありながら非常に強い吸引力を有する。
- 高粘度の流体に含まれる気泡を、ポンプで移送しながら除去することができる。
- 完全ドライの状態からでもポンプの運転を開始することができる。
- 真空脱泡用の装置を使用する工程の時間短縮が可能に。
- 液にせん断や撹拌が加わることを抑え、食品の品質を維持。
品質管理における効果
- 気泡による製品不良(成形後の空洞発生、気泡による酸化促進、等)を抑制。
- 高所作業や、重量物の人手での移し替えといった危険作業を解消。
導入事例
カレーソース
カレーソースを移送する工程に二軸スクリューポンプを導入。
導入当初は、従来使用していたポンプと同様に、使用後毎回の分解洗浄を行うことを予定していたが、通水によるCIP洗浄だけで十分な水準(ATP値で20程度)までポンプ内部をきれいにすることができることがわかり、これまで必要だった分解洗浄のための時間を大きく削減することができるようになった。
味噌
味噌をタンクから充填機へ移送する工程で、液の中に気泡が含まれた状態で金属探知機を通過すると誤作動を起こしてしまい、実際には金属片が含まれていなくてもアラームが出ているというようなことが頻発していた。これに対応するために金属探知機の感度を落として運用していたが、こうすると金属片が混入するリスクも上がってしまうため、なんとかしたいと考えていた。
この移送工程に脱泡機能付き二軸スクリューポンプを導入。
移送しながら味噌に含まれる気泡を除去することができるようになり、気泡による金属探知機の誤作動が起こらなくなったため、探知機の感度を高い設定に戻すことができた。このことは異物混入のリスク回避において大きな助けとなった。加えて、充填後の味噌にも気泡が入らなくなったことで、容器内での味噌の酸化防止効果が得られることにもなった。
食品用ポンプ選定時のチェックリスト
- 扱う食品の粘度や流量に合っているか
- サニタリー性が確保されているか(CIP対応など)
- メンテナンスのしやすさを考慮しているか
- 扱う食品や洗浄液の物性に合った部材を使用しているか
まとめ
食品製造において、異物混入は企業の信用を根本から揺るがす深刻なリスクです。これを防ぐためには、設備による物理的なリスクを排除するとともに、サニタリー性・洗浄性・メンテナンス性に優れたポンプを選ぶことも品質保証の鍵となります。
伏虎金属工業では、異物混入リスクを極限まで抑える二軸スクリューポンプなど、食品の安全性と現場の省力化を両立する製品を取り揃えています。設備更新や衛生管理の見直しでお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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