繊維質を含む液体移送の課題とはchallenges in pumping fiber-containing fluids
化学、製紙、リサイクル、環境処理の現場では、繊維質を多く含んだ液体やスラリーをポンプで搬送する工程が数多く存在します。これらの流体には、以下のような例が挙げられます。
- 化学:CNT、CMCなどの紐状の物質の懸濁液
- 製紙、パルプ:パルプスラリー、古紙処理液
- バイオ:微細藻類などを含むバイオマス液
- 環境処理:不織布の繊維を含む廃液、野菜や果物の繊維くず
こうした繊維状の物質を含む液体を扱うとき、一般的なポンプではポンプ内で回転部に巻き付いたり、狭窄部に詰まったりすることで運転停止や機器損傷の原因になります。また、このようなことが発生すると頻繁なメンテナンスや清掃が必要になるという課題も抱えています。
また、藻類のようなものを移送する際には、移送中にそれらが切れてしまうと、その後の工程に大きく影響が出てしまいます。
このように、繊維質を「絡めず、詰まらせず、切らず」に搬送する技術が求められます。
なぜ二軸スクリューポンプが有効なのかHow twin-screw pumps work
上記のような課題を解決するために効果的なのが二軸スクリューポンプです。このポンプは以下の特長により、繊維質のものを含む液体に対しても優れた移送性能を発揮します。
絡まり・詰まりを起こしにくい移送原理
二軸スクリューポンプは、2本のスクリューが非接触で回転しながら流体を連続的に押し出す構造です。スクリューの間に繊維状異物が入り込んでも、回転体に絡まることなくそのまま前に押し出し続ける事ができます。
また、狭窄部に繊維が入り込む可能性については、ポンプの構造に工夫をすることで対応することができます。
液に優しい移送
二軸スクリューポンプによる移送は、前述の通り連続的に液を前に押し出すような形式で行われるため、液にせん断が加わることはほとんどありません。これにより、柔らかい繊維状のものでも傷つけずに移送することができます。
高粘度液の対応
CNTやCMFの懸濁液は液粘度が高くなることが見られますが、二軸スクリューポンプはその移送原理上、高粘度の液体でも取り扱うことが可能です。
実際の導入事例Case study
移送の安定化
ある化学工場では、セルロース繊維を含む液を人手で次の工程まで運んでいたが、手間と負担が大きく改善したいと考えていました。そこでポンプを使った移送への切替を検討していたものの、移送中にポンプ内で繊維が詰まってしまってうまく送れず苦労していました。
この工程に二軸スクリューポンプを導入したところ、
- 繊維の詰まりによる運転停止を起こさずに移送
- 移送精度の安定化
といった効果が得られ、設備稼働率の向上・省人化を実現することができました。
コンタミの抑制
ある製紙工場では、セルロース繊維を含む液を接触式のポンプで移送していましたが、ポンプ由来の異物混入のリスクや高いメンテナンス頻度に課題を感じていました。
この工程に二軸スクリューポンプを導入し、
- 繊維の詰まりによる運転停止を起こさずに移送
- 非接触式ポンプの使用によるコンタミリスクとメンテナンス頻度の低減
といった効果を得ることができました。
ポンプ選定時のチェックリストchecklist
導入にあたり、以下のような項目を事前に確認しておくことが推奨されます。
- 液体の粘度、流量、温度はどれくらいか
- 移送距離や配管の太さはどれくらいか
- 含まれる繊維の濃度はどれくらいか
- 含まれる繊維の凝集性はどれくらいか
現場によっては他の設備(解砕機や乳化機など)との連動性も考慮する必要があるため、現場の課題に即したカスタマイズが可能なポンプであるかという点も必要になります。
まとめSummary
繊維状のものを含む流体は、ポンプ選定を誤ると生産停止や品質トラブルのリスクが非常に高くなります。二軸スクリューポンプであれば、こうしたリスクを最小限に抑えつつ、やさしく液体を移送できます。
「繊維が詰まって困っている」「今のポンプがすぐ止まる」という現場では、ぜひ二軸スクリューポンプの導入をご検討ください。
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二軸スクリューポンプSQ型
繊維状のものを詰まらせずに移送
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